ドジャースを圧倒した「頭を使う野球」の真髄 ブルワーズ監督が証言した無意味に見えた“2死無塁でのバント策”の意味「残りの打席で必ず打てる球が来る」
「世界で一番驚いていたのはディアスだった」
「それで彼は2アウトでランナーもいない場面でバントをした。いや、ひどいバントだったね。それで、結局、一塁まで一歩半のところでアウトにされてしまった。ただ、その後の2打席で彼のところには打てる球が来た。投手の心理としては、『次の(1番打者)チョウリオに回したくない。だから、こいつは打たせて取ろう』とね」
実際、データには表れない投手心理を読み解いた名伯楽の考えは的中した。ハミルトンは、5回に中前適時打、そしてチームが逆転していた9回にダメ押しのソロホームランをマーク。とりわけ9回の一発は、相手守護神エドウィン・ディアスの投じた甘いスライダーを捉える痛烈な一打だった。
マーフィー監督は、こうも証言する。
「ハミルトンが完璧に捉えた時、世界で一番驚いていたのはディアスだった。まるで『お前ら、こいつは打てないぞって俺に言ったじゃねえか』って顔でベンチを見ていた。だから、私は、あのバントもプロセスの一環だったと信じているよ」
一見しただけでは「意味不明」とも言えるバント策。その裏にあったのは、9イニングの戦いを見通した野球の奥深さを感じさせる狙いだった。もちろん指揮官の意図を正確に汲み取って実行する選手側の忠実性の賜物ではあるが、一連のプレーは米球界のトレンドが、単なるデータ至上主義のスタイルから変化している証左とも言えるのではないだろうか。
ちなみに先述のインタビューで「ブルワーズは僕たちよりいい野球をしていた」と語ったフリーマンは、こうも言い残している。
「野球は、お金だけで勝てるものじゃない。この世界にいる人間なら、みんな分かっている。どれだけ投資をしても何も保証されていないし、本当に難しいよ。ユニフォームの背中にどんな名前が書いてあろうと、結局はグラウンドに出ていいプレーしなきゃいけない。ブルワーズはこの4日間、本当にいい野球をしたんだ」
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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