南北関係に新たな火種 出戻り脱北者がコロナ陽性…金正恩「最大非常態勢」に転換

　国際社会による経済制裁で困窮する中、国境を閉鎖してまで新型コロナウイルスの感染拡大に神経を尖らせてきた北朝鮮で陽性者が出だと大騒ぎになっている。新型コロナを持ち込んだのが韓国に渡って出戻った脱北者とみられ、南北関係の新たな火種になりそうだ。

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　北朝鮮の朝鮮中央通信は２６日、金正恩朝鮮労働党委員長が党中央委員会政治局非常拡大会議を緊急招集したと報じた。新型コロナ感染が疑われる脱北者が軍事境界線を越え、開城を通じて３年ぶりに北朝鮮に戻ったことに伴う措置で、国家非常防疫体制を「最大非常態勢」に転換。開城を完全封鎖することにしたという。「不法帰郷者の上気道分泌物と血液に対する数回の検査を実施し、悪性ウイルス感染者と疑われる釈然としない結果が出た」「彼を徹底的に隔離させ、過去５日間に開城市で彼と接触した全ての対象と開城市経由者を徹底的に調査、掌握し、検診、隔離措置を取っている」と伝えた。

「北朝鮮の報道を受け、韓国軍合同参謀本部は確認を急いでいます。脱北者が軍事境界線を越えたことは疑いようがなく、韓国側のズサンな警備体制が問題になるのは必至。金正恩委員長の実妹の金与正党第１副部長が対南圧力を強め、開城工業団地の南北共同連絡事務所を爆破した問題もくすぶる中、北朝鮮に新たな攻撃材料を与える形になってしまいかねない。南北融和に引き戻したい文在寅大統領にとって頭の痛い事態です」（ソウル特派員）