「お前の感覚を信じろ」――神童に刺さった帝拳OBの進言 井上拓真戦前に那須川天心が掲げた“本能の闘い方”の真意「ボクシングをやろうと思わない」
昨年の対戦では経験の差を露呈。天心は井上に「呑まれた」(C)Takamoto TOKUHARA/CoCoKARAnext
ただならぬ雰囲気をまとわせた会見
那須川天心(帝拳)は、登壇時からただならぬ雰囲気を漂わせていた。9月25日に東京都内のホテルで実施された記者会見での様子だ。
WBCとIBFの両団体会長を挟んで左隣に座ったのは井上拓真(大橋)。約10か月前にボクシングのWBC世界バンタム級王座決定戦で敗れ、2日後にふたたび拳を交えようとする相手だ。
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ともすれば、因縁の相手と壇上で並んだ天心は、帽子を目深にかぶり、殺伐としたオーラを放っていた。時折、眼前に座る記者やカメラマンたちに向ける眼光は鋭く、会見を通して、普段以上の緊張感を漂わせた。
質疑応答における返答も、言葉は短く、無駄を感じさせなかった。司会から「決戦2日前のお気持ちは?」と問われた天心は、「もう言いたいことも特にないんで。やるだけなんで」とキッパリ。そこには格闘技人生で初めての“リベンジマッチ”に臨む男の意地が滲む。
では、天心はどう戦うのか。挑む井上は、前回対戦の6か月後に行われた東京ドーム興行で、井岡一翔(志成)を内容で圧倒し、3-0の判定勝ち。初防衛を成功させ、「すべてを警戒して、全てにおいて上回っていく」と自信を深めている。並大抵のボクシングで超えられる相手ではない。
天心は、こう発言している。
「何も考えることはないです。当日の俺に任せるだけです。本能で闘う。俺のボクシングをするだけです」
では、「本能のボクシング」とは何か。今回の井上戦に向けた鍵を「思考がシンプルになっている」というリベンジャーは、囲み取材の場で、その真意の一端を覗かせた。
「ここ1、2週間、色々と本当に考えたんです。色々な壁にぶち当たった。ボクシングをやってる時も、やってない時も、僕は日常から考えてしまうんで。そこでうまくいかなくなって休んでしまったりとかもあった。色んなトライアンドエラーを繰り返した結果、自分の思うまま、その時に思った感情に自分を委ねようと」
葛藤はあった。自分のボクシングを模索する中で、キッカケとなったのは、帝拳OBでもある元WBA世界ミドル級スーパー王者の村田諒太氏のアドバイスだった。
「お前は天才なんだからもっと堂々と自分らしくやれよ。いろんなことを考えて、ごちゃごちゃ言われてするんじゃなくて、自分のスタイル、お前の感覚を信じろ」













