サッカー日本代表応援特別企画!ポーランド料理を「食す」

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日本の決勝トーナメント進出を願って!

ポーランド主流のあの料理が、アスリートフードに?


※この投稿は株式会社アスリートフードマイスター社の「アスリートフード11」企画と連動しています。

株式会社アスリートフードマイスター社公認アスリートフードマイスター、また、野菜ソムリエでもあることからご縁をいただき、ポーランド戦に向けて、ポーランドを「食す!」という意味で、ポーランド料理レシピを担当させていただくことになりました。

これまで目にしたことのない料理の数々に心踊る日々。新鮮な気持ちで愉しみ、そして、サッカー日本代表の勝利を願いながらレシピを考案させていただきました。

今回、様々なポーランド料理を調べていく中で、私が注目したのはポーランドスープ料理のバリエーションの豊富さです。実はアスリートフードでも、スープは大変重宝されるもの。

日本の「スープ」と言えば、伝統食でもある発酵食品の味噌を使った「味噌汁」が代表としてあげられますが、味噌汁は、スポーツシーンで大量の汗から流れ出るビタミン、ミネラル、水分の補給が出来る他、夏場の熱中症予防にも推奨される食べ物。具材をたくさん入れられるので、たった1つで様々な栄養がバランス良く且つ消化を手助けしながら摂取できることも、大きな魅力の1つです。
そんなポーランドの数あるスープ料理の中から、今回は2種類をピックアップ。アレンジしながら考案させていただきます。

フウォドニク (Chłodnik)

※Chłodnyは(冷たい)という言葉

 ポーランドの夏の短い期間にだけにいただく、ピンクや赤、紫色が鮮やかな、視覚を刺激する冷製スープです。「飲む輸血」と呼ばれるほど栄養価の高いビーツなどの野菜を煮出して冷やしたものに、ヨーグルトやサワークリームなどの乳製品を入れ、ゆで卵やきゅうり、ラディッシュ、ハーブ類などを混ぜて仕上げたもの。シーズンに入ると、現地では出来合いの市販品も数多く販売されているとか。

 それでは栄養説明です。

●ビーツ
ロシア料理のボルシチの中に入っていることで知られる真っ赤な野菜のビーツ。「飲む輸血」「奇跡の野菜」と呼ばれるほどビタミンやミネラルなど非常に栄養価の高い野菜です。アントシアニン系の色素、ベタシアニンの強い抗酸化作用や「NO(一酸化窒素)」の血管拡張作用に注目が集まっています。(スポーツ界でも血流を改善することは、持久力アップや疲労回復、怪我からの回復時期などにも重要)

カブのような形状をしていますが、アブラナ科ではなく、実はほうれん草と同じアカザ科。私の実家は北海道浦幌町で、現在も両親が畑作農家を営んでおりますが、幼い頃はビート(てんさい:砂糖の原料。見た目は大根のような形をしています)を栽培しており、ビーツはこの仲間でもあります。

●黒酢
酢酸やクエン酸を含むだけでなく、ビタミン、ミネラルがたっぷりで、アミノ酸の含有量が多いことが特徴。体内では作り出すことができない必須アミノ酸のBCAA(バリン、ロイシン、イソロイシン)が含まれ、集中力を保持し、運動による筋肉の損傷を抑えて回復を早める働きが期待できます。

●卵
良質なたんぱく質を始めとする大切な栄養素をほぼ網羅。(ビタミンCと食物繊維以外)たんぱく質は神経伝達物質の元。集中力の向上などのパフォーマンスアップに関わるコリンやレシチンも豊富。スポーツ選手の王道食です。

●ヨーグルト
乳酸発酵食品の代表食。腸内環境を整えてくれる為免疫力アップにも関わるスポーツ選手の必須食材。牛乳のたんぱく質、カルシウムなどが、より消化・吸収しやすい形で含まれており、健やかな体を後押し。

●にんにく
古くから疲労回復、スタミナアップ、滋養強壮の代表格として取り上げられてきた食材。様々な栄養素をバランス良く含み、中でも豊富なビタミンB6は、卵やヨーグルトに含まれる骨や筋肉など体の組織を作るたんぱく質の代謝を助ける役割を持ちます。

●ハーブ類
ハーブは植物化学成分(フィトケミカル=ファイトケミカル)の宝庫。これらの機能性成分を積極的に取り入れることにより、健康増進に役立つことが医学界でも注目されています。今回使用した日本の食卓でもお馴染みのパセリは、ハリウッドスター級に栄養価の高い緑黄色野菜。パセリの独特な香りには、消化促進効果や鎮静作用が期待されています。

フウォドニク (Chłodnik)2人分

ヨーグルト      200cc
水          300cc
ビーツ        50g
ゆで卵        1個
にんにく       1片
黒酢         大さじ1
塩、パセリなどのハーブ類 適量

◎スープの中に入れる具材
キュウリ、ラディッシュ、大根などが食感のパリッとしたり、シャキッとしたサラダ野菜などと相性が良いでしょう。ハーブはパセリだけでなく、ディルなどもピッタリ。勿論ドライでも可です。

(※真新しい料理のため5回ほど試作しましたが、キュウリは生のキュウリではなく、ピクルスや、キュウリの浅漬けのような下味のついたものの方が、青臭さが気にならず、個人的には全体としてのバランスが纏まるような気がします。美味しさをアップさせるのであれば、ここに、サワークリームや生クリームを投入してあげると更に美味に。しかし今回は、レシピを簡易化、アスリートフードということで、ヨーグルトと黒酢の酸、にんにくの風味、塩や野菜の香りや旨味だけで、シンプルに纏めています)

作り方です。

(1) 鍋に、水、皮ごと細かく刻んだビーツ(皮ごと摂取するのはポリフェノールを生かすため。栄養を逃さないように、実もスープも全ていただきます。早く仕上げるため、細かく刻んでいます)黒酢、ひとつまみの塩、にんにくのすりおろしを入れて火にかけ、ビーツに火が入るまでコトコト煮込んで火を止める。(10〜15分程度)これを冷蔵庫などでしっかり冷ましておく。

(2) ボウルにヨーグルトを入れ、(1)、お好きなサラダ野菜(今回は大根やきゅうりの浅漬け、ピクルスなど)お好きなハーブ類(今回は自家栽培の細かく刻んだパセリやディル)を混ぜ、塩で味を整える。

(3) (2)を器に盛り、上から4当分にしたゆで卵、あれば飾りにハーブを添える。

『ポミドロバ』(pomidorowa)

 トマトを煮込んでスープに仕上げる旅行客にも人気の料理だとか。細いヌードルやチーズをトッピングするなど、バリエーションも様々。レストランや家庭ごとに作り方も異なるそうなので、今回はこれを、日本風のアスリート向けトマトスープにアレンジしてみました。

●トマト
トマトのあの赤色は、お馴染み「リコピン」という抗酸化作用抜群の色素。今回使用したトマト缶に使われているトマトは、加工用に栽培されている赤系トマトと呼ばれるもので、スーパーの野菜コーナーにずらりと並ぶフレッシュのピンク系トマトと比較すると、リコピン量が多いのが特徴。更にリコピンは加熱したり、油と一緒に摂取することによって吸収率がアップするため、今回はお手軽且つ旨味の詰まったホールトマト缶を利用してみました。

●雑穀米
ビタミンやミネラル、食物繊維などを補充することができ、お手軽。アスリートもサプリメント感覚で利用。

●にんにく
雑穀米に豊富なビタミンB1は、にんにくに含まれるアリシンと一緒に摂取することにより、ビタミンB1の吸収率がアップ。ビタミンB1の効果を長持ちさせ、疲労回復を素早くすることが出来ます。

●キャベツ
キャベツは外側の葉の部分にビタミンCが豊富。次に多いのが芯のところ。天然の胃腸薬と呼ばれるビタミンU(キャベジン)も豊富。栄養を余すことなくいただく為、芯も細かく刻んで全て使用します。カルシウムやカルシウムの吸収を促す脂溶性のビタミンKも含まれているので、油で炒めてからスープとして摂取する調理工程を選択しました。ビタミンCは加熱による損失が取り上げられる栄養素ですが、スープに溶け出たビタミンCは、アミノ酸化合物などの別の成分と反応することにより、同じ働きを取り戻すという説も。よって、可能性を捨てないように、スープも具材も、全て一緒に大切に、有り難くいただくことを心がけていきます。

●パルメザンチーズ
瞬発力アップにも関わるカルシウム、マグネシウム、旨味が凝縮された食材。アミノ酸の結晶で体に吸収されやすいことがメリット。マグネシウムはサッカーでいう体全体の司令塔のような重要な役割を担い、積極的に摂取したい注目のミネラル。

●月桂樹(ローリエ)
煮込み料理によく使用される月桂樹(ローリエ)は、シネオールやリナロール、オイゲノールなどの香り成分を含み、体を温め、血流を促したり、精神をリラックスさせる効果が期待できます。更に、ナツメグやこしょうなどのスパイスと組み合わせることで相乗効果が。月桂樹は、古代ギリシアとローマの人々にとって、勝利と平和の象徴であり、1年中変わらずに緑色であることから、不老不死の象徴でもありました。

●ハーブ類
今回使用したバジルやオレガノは、トマト料理に相性の良いハーブ。

●スパイス類
カレー粉はスパイスの複合体。「食べる薬」と呼ばれ、様々な薬効効果が期待されています。今回はそんなスパイスの中から、トマト料理と相性の良いナツメグ、クミン、パプリカを利用しました。

『ポミドロバ』(pomidorowa)2〜3人分

トマト缶              1缶
水                200cc
雑穀米              50cc
キャベツ             1/4個
にんにく             1片
パルメザンチーズ          大さじ1
煮込み用ローリエ(月桂樹)     1枚
オリーブ油、塩、黒こしょう     適量

(※その他バジルやオレガノなどトマトと相性の良さそうなハーブ類、ナツメグやクミン、パプリカなど、トマトと相性の良さそうなスパイス類を適量。ハーブ類はドライでも勿論可)

作り方です。

①鍋にオリーブ油、にんにくのみじん切りを入れて弱火にかけ、香りが立ってきたら雑穀米、キャベツ、ひとつまみの塩を入れ、ヘラなどでかき混ぜ、こげつかないようにしながら10分程度炒めていく。

(3) (1)に水、トマト缶、月桂樹(ローリエ)、お好きなハーブ類(今回はフレッシュバジルとオレガノを1〜2本)を入れ、雑穀が柔らかくなるまでじっくりコトコト弱火で煮込み、仕上げにお好きなスパイス類(今回はナツメグ、クミン、パプリカ)を少々入れ、塩で味を整える。(この時もっとさらっとしたテクスチャーがお好みであれば、水を足して調整してあげると◎)

(3) (2)を器に盛り、上からパルメザンチーズ、黒こしょうをふって、あればお好きなフレッシュハーブを添える。

(※美味しさをアップするなら、この上にサワークリームを添えたり、煮込む時に生クリームを投入してあげると更に美味。今回は、トマトの酸や野菜の旨味、ハーブやスパイス、にんにくなどの風味や香り、マグネシウムを意識したパルメザンチーズの旨味、塩のみでシンプルに纏めています)

・合わせて読みたい→
食べることを意識すれば、運命はいとも簡単に変わっていく(https://cocokara-next.com/food_and_diet/be-conscious-that-eat-change-the-fate/)


※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。

[文:山瀬理恵子]

山瀬 理恵子(やませ・りえこ)

1977年9月16日生まれ。
http://yamasefamily.com/rieko-yamase
小学校教諭を経て、サッカー元日本代表で現在アビスパ福岡所属の現役Jリーガー山瀬功治と結婚。(今季プロ19年目。三浦知良選手に並ぶJ歴代2位の18年連続ゴール記録を達成)京都新聞朝刊にて3年間のスポーツ栄養レシピ・コラム連載を書籍化した著書「アス飯レシピ」を京都新聞出版より2017年8月に発売。(1ヶ月で重版決定)キューピーマヨネーズ料理グランプリ2015京都府代表。人気レシピサイトクックパッドに公式キッチンを持つ。
サッカーダイジェストテクニカルにてスポーツ栄養レシピ・コラム連載2年。PHP研究所巻頭料理カラー2年。サッカー協会、株式会社アスリートフードマイスター、京都サンガF.C、アビスパ福岡アカデミー、小中高、大学他各教育機関・Jr.アスリート保護者及び企業にて栄養学講演、調理実習多数開催。
2017年より味の明太子ふくや、味の兵四郎、テレビ西日本&西日本スポーツ新聞料理コーナー「山瀬理恵子のアス飯」レギュラーを担当。2018年北海道十勝郡浦幌町ふるさと大使に任命。京都新聞読者情報誌「きらっと!京滋」5月号より新連載。福岡県筑紫女学園大学にて人間科学部大西良准教授及び『LIKKE』大学生らが取り組む「子ども食堂」をアス飯でサポート。福岡サンパレスホテル坂本憲治総料理長とアス飯弁当をコラボ、レベルファイブスタジアムにて販売。

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