『横浜一強』――19年ぶり歓喜の舞台裏 横浜高を復権させた村田浩明監督の指導論に迫る

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■トレーニング・食事・睡眠で身体を変える

 2025年1月、横浜の長浜グラウンド。村田監督に会うと、「身体が厚くなったと思いませんか。特に2年生は平均体重が80キロ近くになっています」と、トレーニングの成果を嬉しそうに教えてくれた。

 緻密な野球で時代を築いてきた横浜だが、緻密さだけでは勝てない時代になった。新基準バットになれば、守れるのは当たり前。打撃でどれだけ優位性を作れるか。

「自分が高校生のときからですが、横浜高校は伝統的に野球の割合が多く、わかりやすく言えば、野球が9割でトレーニングが1割。がっちりした選手よりも、細身で動ける選手が活躍していました」

 チームとしての土台が作られ始めた頃から、トレーニングの割合を意図的に増やし、「今までのやり方を思い切って変えていきたい」と口にする機会が増えた。

 2022年から、高山大輝部長の創価大時代の1つ先輩である豊島和城トレーナーを招聘し、ウォーミングアップやトレーニングのやり方を一任。メディシンボールを使ったトレーニングに力を入れて、野球の動作につながるメニューを組んでいる。

 食事にも計画的に取り組むようになり、昨年の冬季トレーニング期には10時、15時、17時と、補食の時間を細かく設定した。

 村田監督の母親が寮でご飯を作っているが、一緒に補食用のおにぎりや焼きそばも作る。阿部葉太主将に聞くと、「焼きそばが特に美味しい」と好評だ。

 睡眠も重要視し、夜10時以降、また朝6時半前の自主練習は禁止として、一日8時間近い睡眠を確保することに努めている。

 今回のセンバツではガタイの良さはトップクラス。平均体重は80キロを超えていた(80.4キロ)。

■秋春連覇は通過点

 村田監督は、外部の血も積極的に取り入れている。

 2023年には、公立校の指導者としてともに鎬を削っていた渡邉陽介先生をスタッフに招いた。横浜のOBではないが、「選手の心にも、指導者の心にも入っていくのがうまい」という理由で声をかけた。

 さらに、昨秋からは、駒大苫小牧の夏の甲子園2連覇時のスタッフでもある遠藤友彦氏を臨時コーチに招聘し、さまざまな助言を受けている。

 歴史がある学校ほど、改革のハードルは高くなるものだが、なぜ変える決断を下せたのか。

「自分の色を出したい、出していかなきゃいけないとずっと思っていました。それが、横浜高校の伝統を継承することにつながることに、やっと気付けた自分がいます」

 気付けた理由を聞くと、こう即答した。

「負けてきた。負け続けてきたんで」

 2023年、2024年は夏の神奈川大会準優勝。決勝で悔しい逆転負けを喫した。

「何かを変えないと変わらない。負け続けて終わる人もいれば、負け続けて這い上がる人もいると思っています。それは、公立で指導者をやってきたことが土台になっていて、『何とか這い上がりたい』という想いでずっとやっていて。今、やっとスタートラインに立てたと感じています」

 秋春連覇は通過点。進化の歩みを止めることなく、さらなる高みを目指していく。

[文:大利実]

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