カタールの激闘から広まった森保ジャパンを「見習うべき」の声 ドイツの識者たちが証言した日本サッカーの“変貌”「ここ最近で最も成長した国だ」【現地発】

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4年前にカタールでドイツを破った日本。当時の激闘は、サッカー界で大きな反響を生んだ(C)Getty Images

特筆すべき個々の力の還元

 では、具体的にどこが評価軸となるのか。挙げられたのは、日本が繰り返すプレーの効果的な側面だ。

 ブンデスリーガからドイツ代表まで広くカバーし、長年執筆活動をしているジャーナリストのフロリアン・ラインエッケ氏は、母国代表との比較を語る中で日本を次のように評した。

「いまのドイツ・サッカーに欠けているのは、効果的なプレーだ。ものすごい労力をかけてチャンスを作ろうとするが、ゴール数が増えてこない。これは問題だ。それでいて失点はあっさりしてしまう。ボールロストの場所とタイミングが良くないし、ボールを失ってから自陣に戻るスピードもタイミングも遅い。

 ただ、それはバランスが良くないからなんだ。日本もそうだし、他国の好成績を残しているところは不必要に無理なプレーをしていない。やるべきことが明確で、そこをしっかりと追及して、個々がアレンジを加える。ワールドカップではどんな試合だろうと、自分たちのパフォーマンスを引き出せなかったら勝ち切ることはできない」

 自分たちの理想とするサッカーを実行するために、原則的なプレーを後回しにすれば、チームは機能しなくなるのは、サッカー界に古くからある不文律だ。それを絶妙に保っているからこそ、今の日本は崩れにくい構成ができている。少なくともドイツではそう見られている。

 また、選手個人の成長にも目は向けられている。独衛星放送『Sky』でリポーターを務めるフロリアン・プレッテンベルク氏が、「ブンデスリーガでプレーする数人をはじめ、海外組が増えただけではなく、欧州トップリーグのサッカーの強度と戦術を吸収し、経験を力に変えている」と表現していたのが、言い得て妙。個々の力の還元は特筆すべき点である。

 日本人選手に対するドイツ国内の評価は、長谷部誠がブンデスリーガで実績を積み上げてから“ブランド”が確立されてきている。「Taktisch diszipliniert(戦術規律が高い)」「Zuverlässig(信頼できる)」「Anpassungsfähig(適応力が高い)」という個人への評価は、いまの代表チームに対する評価へと変わり、「技術的である」とだけ形容されてきた日本サッカー全体が「賢いチーム」として語られるようにもなってきている。これは、大きな変化と言えるはずだ。

 ただ、正直なところ、日本をW杯の「優勝候補」に挙げる人は少ない。「個」で試合を決めるワールドクラスのタレントの存在、負けたら終わりの決勝トーナメントで結果を残したという経験値、守備固めをされた相手への対処法に対する懐疑的な意見も依然としてある。

 それでも今、ドイツで日本に対する『現代的なサッカーの強豪国』としての認識が広まっている。それは疑いようがない。

[取材・文: 中野吉之伴 Text by Kichinosuke Nakano]

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