「羽生結弦引退報道」はなぜ人々の怒りを買ったのか 再考を迫られるマスコミ界

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 この状況はスポーツマスコミ界の上層部に衝撃をもたらしたと、前述のデスクは言います。

 「我々はいかに情報をライバル紙より先に出すかが正義と信じて、ここまでやってきた。数時間後に正式発表されることでも、それを事前に報じられる記者が『デキる記者』とされて出世し、原稿が上手い記者よりも社内評価は高かった。しかし今回の騒動で、いったい何が最適解なのが分からなくなったというのが、正直あるんです」

 そして、こう続けるのです。

 「今回は日刊スポーツの『1紙抜き』になったわけですが、正直な話、ライバル紙には羽生サイドと強固な信頼関係で結ばれた社も複数ある。これらの社が翌日の会見の内容を把握できなかったとは考えにくい。むしろ、羽生サイドへの敬意から、自らの肉声で伝えたいという『想い』を酌み取って、敢えて『ネタバレ』を書かなかったという考え方もある。いずれにせよ、スクープを何でも書けば全てOKという時代から変わりつつあるというのが、浮き彫りになった一件と言えるのは間違いないです」

 書けば勝利、書かなきゃ敗北--。これが昭和、平成におけるスポーツメディアの大原則だったとすれば、令和の世の中は「対読者」的に、さらなる戦略が必要になるかもしれません。今回の件をどう捉えるか。スポーツマスコミも新しい時代に即した検証が求められそうです。





[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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