データをどう活かすべきか? 「量より質」だけでは極められない守備の真髄 ハマの職人が語る“効率のいい練習”「自分で考えないと野球脳は上がらない」【DeNA】
藤田コーチが理想とする手法を極めようとしている名手・京田(C)産経新聞社
「数が足りなかったらやらないと、やっぱり最後に重いプレーはできないです」
接戦をモノにする地力をつけている最近のDeNAは、緊迫した場面で守備のファインプレーや本塁封殺など、チームに勢いをもたらす守備が目立っている。藤田コーチも「いいところでああいうプレーが出てなかったら、全部負けてます」と振り返る。
プレッシャー下で、好結果を生まれる背景には、チームが春季キャンプから積み重ねてきた愚直な反復練習がある。
昨今、球界でもよく耳にする言葉が「効率のいい練習」。多くのケースにおいて、分析や最新機器など用いて短時間で能力を上げることを意図して使われるが、藤田コーチには明確な持論がある。
「効率のいい練習なんかないです。結局、数を受けるから効率いい練習が生まれる。練習してない人が効率のいい練習なんてわからないんですよ。その中で僕らは効率が良く、数少なくいい練習を考える。でも、数が足りなかったらやらないと、やっぱり最後に重いプレーはできないです」
藤田コーチがここまで練習量にこだわる根底には、自身が現役時代に体験した2011年の出来事がある。
当時、自身の最大の課題をバッティングだと捉えていたという藤田コーチは、早出で守備練習をするという発想すらなかった。そんな名手の意識を根本から変えたのが、2010年オフにオリックスからトレードで加入した嶋村一輝氏の存在だった。
「一輝さんにホームゲームの時に『ティーバッティングの前に特守やろう』と誘われて、試合の5時間前からずっとやりました。デイゲームで13時開始だと7:30からでしたね。そのころ課題はバッティングだと思っていたので、守備練習する発想がなかったんです」
ノッカーを務めるコーチ陣とともに、グラウンドで1年間汗を流し続けた日々。「あの早出特守があったからこそだと、いまでも思っています」というように、膨大な“数”をこなしたノックの積み重ねが名手・藤田一也の揺るぎない土台。そして、後の移籍する楽天でのセカンドのレギュラー奪取、さらには同球団史上初のリーグ優勝&日本一へと導く原点となった。
そんな名手が重視する「重いプレー」を、現在のグラウンド上で体現しているのが、京田陽太だ。緊迫した接戦の終盤、イレギュラーバウンドする強烈な打球に対して執念で食らいつき、幾度となくチームの危機を救っている。そして彼も早出特守で汗を流すひとりだ。交流戦中に離脱したが、リハビリ期間中も指導陣や裏方スタッフに「わがままを言ってノックを打ってもらった」と自身を追い込んだ。
藤田コーチも「中日の時よりも球際が強くなってますね。それってやっぱり練習量なんですよ」と唸る1球に懸ける真摯な姿勢は、試合以外で培われたものに他ならない。そして、それはチームメイトや監督からの絶大な信頼へと繋がっていくのだ。













