ブルペンで孤軍奮闘を続ける宮城。プロの世界でもがく若武者は、ただただ上を見据えている(C)萩原孝弘
成長ゆえの落とし穴
昨季50試合に登板し、ブルペンで確固たる地位を築いた宮城滝太。しかし、躍進を遂げた26歳は、プロ8年目を迎えた2026年シーズンに“落とし穴”にはまった。27試合に登板した前半戦は、昨年の自分との闘いの日々でもあった。
暗闇を抜けた7月、右腕の表情に春先の苦悩はなかった。ひとつの壁を乗り越えた若きリリーバーが、次世代のブルペンリーダーとなるべく歩みを進める覚悟を追った。
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1軍の戦力となって実質2年目のシーズン。宮城は春先から違和感を覚えていた。フィジカルを強化し、出力も制球力も向上している。だが、結果は、本人の感覚とは違う方向へ転がっていった。
「去年のいい時の自分を知っています。でも今年に入って身体が変化している中で、出力も上がってる。でも去年みたいに活躍したい思いが強すぎて、去年の自分に合わせようとしちゃったんですよ。そこにズレがどんどん出てきて……」
逞しくなった身体に、向上する出力。しかし、脳裏に焼き付いて離れないのは「去年の感覚」だった。そのギャップこそが、「違和感」の正体だった。
さらにピッチャーとしてのレベルアップが思わぬ落とし穴をもたらしていた。球威だけでなく、制球力も向上したことが、皮肉にも仇となったのだ。
「去年はいい感じにボールが散っていたんでよかったところもあったんです。でも、今はある程度決まったところで投げれる。フォアボールも出してないです。自分でゾーン勝負ができています」
その言葉通り、昨年の与四球率2.61から、今年は2.08まで改善。だが、「でも打たれてしまっているんです……」と宮城本人は首を傾げる。ボールがまとまったがゆえに、一軍の打者に対する“強み”が消え、かえって狙いを絞りやすくなっていた。レベルアップしたはずの武器が結果に結びつかない。実際、6月は防御率4.50と苦しんだ。
見えない壁に苦しんだ宮城は一軍戦力として戦いながら試行錯誤を繰り返した。光が射し込むキッカケとなったのは、自身の向上心と思考の変換だった。
「去年は去年、今年はまた新しい自分を作る。そもそも去年を求めてる時点で、去年以上の自分はいないなっていうのに気づいて。まだまだもっと上に行きたいですし、もっと上手くなりたいんで」
昨年の成績をゴールとして設定していては、キャリアハイの更新はない。過去の自分を追い求めるのをやめた時、技術的な狂いを修正する糸口も見えてきた。
「スピードがめっちゃ上がっていくに連れて、リリースポイントもどんどん前に引っ張られてきちゃったんです。真っ直ぐもカーブもフォークも、本来のポイントで放せなくなって。そこの修正をしないといけないなって」