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誰も許さなかった“国民的アイドル”の過ち――元同僚FWが伝説となったアルゼンチン戦で起きたベッカム事件を回想「国は恐ろしくて、狂っていた」【W杯】

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マラドーナの神の手、そして青年ベッカムの退場……サッカー史に残る様々な名場面によってアルゼンチンとイングランドの対戦は彩られている(C)Getty Images

「ベッカムは完全に打ちひしがれ、泣いていた」

 来る7月15日(現地時間)に行われる北中米ワールドカップ(W杯)の準決勝で、アルゼンチン代表とイングランド代表の“因縁カード”が実現する。

 歴史的にもさまざまなドラマが生まれてきたマッチアップだ。フォークランドの領有をめぐって同地で兵火も交え、政治的対立も起きていた両国は敵対ムードが今も漂っている。1951年5月に“聖地”ウェンブリースタジアムで実現した初対戦以来、通算対戦成績は6勝3敗4分けとイングランドが勝ち越している。

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 浅からぬ因縁を感じずにはいられない両国が、W杯のベスト4で対決するとあって、過去の激闘の歴史も掘り起こされている。そうした中で小さくない脚光を浴びているのは、1998年のフランスW杯で起きた“事件”だ。

 1998年のフランス・ワールドカップ(W杯)でのラウンド・オブ16で実現したアルゼンチン戦での一幕だった。当時のイングランドで国民的人気を誇っていたデイビッド・ベッカムが、相手MFディエゴ・シメオネのラフプレーに激高。うつぶせに倒れたまま足を蹴り上げて報復し、一発退場を命じられたのだ。

 数的不利となったイングランドはPK戦まで持ち込んだが、“宿敵”に惜敗。狡猾だったシメオネの挑発的なプレーに乗ったベッカムは「10人の勇敢な獅子と1人の愚かな若者」とバッシングを受けるなど、国中から“戦犯”として扱われた。

 お茶の間を巻き込んだ社会的話題となったベッカムの“愚行”――。そこから28年の時が経ち、W杯の準決勝でアルゼンチン戦が実現するとあって、当時の事情を知る者たちは、ふたたび回想している。

 英スポーツラジオ局『talk SPORT』の番組に出演した元イングランド代表FWで、問題となったアルゼンチン戦に出場していたテディ・シェリンガム氏は、「ベッカムは徹底的に非難されていた。ロッカールームでも完全に打ちひしがれ、泣いていたよ。あの時の僕らは彼を慰める言葉を持っていなかった」と率直な想いを打ち明けている。

「私は決して彼を責めるつもりはなかった。なぜならベッカムはシメオネが演技をしたせいで退場になったんだ。ピッチに寝転がって足を振り回しているだけで、相手を痛めつけることなんてできないからね。あの夜、彼(シメオネ)が上げた叫び声は馬鹿げていたし、我々はPK戦に敗れたんだから、責任は彼だけにあるわけじゃない」

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