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今夏の移籍市場で“成功”したのは誰? 脱出した中村敬斗、デビュー弾の上田綺世、一方で佐野海舟は…欧州組の明暗を探る

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佐藤はすでにバレンシアに欠かせぬ戦力になっている(C)Getty Images

 それ以外の面々を見ると、2025年夏以来のプレミア帰還を果たした冨安健洋(クリスタルパレス)、アヤックスからボルシア・メンヘングラードバッハに1年ぶりに復帰した板倉滉、シントトロイデンからフライブルクへ移籍した後藤啓介らが新たなスタートを切っている。いずれもまずまずの滑り出しを見せている段階だが、出番を得られる環境なのは間違いない。それは期限ギリギリにサウサンプトンからカリアリへのレンタルが決まった菅原由勢も同様。これまでプレミア、ドイツ・ブンデスリーガ1部と欧州5大リーグを渡り歩いてきた男が2部参戦というのは絶対に避けたかったこと。本人も安堵しつつ、イタリアという新たな環境適応を進め、出場機会を確保していくはずだ。

 こうしたステップアップ組とは対照的に、移籍金100億円とも言われた佐野海舟はマインツ残留となった。最後の最後でクリスタルパレス行きの話も聞こえてきたが、移籍金で折り合わなかった模様だ。本人も近い将来にはプレミア行きを狙っていると言われるが、それを達成するためにはもう一段階、突き抜ける必要がある。特に攻撃面のブラッシュアップは不可欠。それは本人が誰よりもよくわかっているはずだ。

 サウジアラビアのアル・イテハドへの移籍話が最後の最後で立ち消えになり、フランクフルトに残留した堂安律も賢明な判断を下したと言っていい。彼の場合、フランクフルトの財政事情、アル・イテハドの指揮官イェンス・ヴィッシング監督との関係性などが絡み合い、本気でサウジアラビア行きを考えた模様だが、最終的には「欧州5大リーグにとどまるべき」という結論に至った様子。代表での今後を考えれば、やはり欧州トップリーグでプレーし続けるに越したことはない。そういう意味では、オランダからJリーグ復帰を選んだ小川航基(町田)は今後、厳しい立場に立たされるかもしれない。

 2026年W杯は逃したものの、格上クラブへ参戦を叶えた佐野航大(PSV)、佐藤龍之介(バレンシア)、中村草太(ルアーブル)、石渡ネルソン(シントトロイデン)ら若手が急速に台頭しつつあるのも、今夏移籍市場の1つの注目点だ。既存代表組が足踏み状態を続ければ、勢いのある彼らに代表の地位を奪われないとも限らないのだ。

 2024年パリ・2028年ロサンゼルス両五輪の代表を率いる大岩監督が指揮官になる2027年3月以降は、より若い世代抜擢の色合いが強まる可能性が高い。だからこそ、2026年W杯組は足を止めている暇はない。鈴木彩艶を筆頭に新天地で飛躍する人材がどんどん出てきてくれれば理想的。佐野海舟、堂安ら残留組も過去にないほど圧倒的なパフォーマンスを示す残すことが重要になってくる。

 森保監督や大岩監督が「活躍している欧州日本人選手が多すぎて、誰を選べばいいか判断に迷う」というくらいの状況になって、日本代表は初めてW杯8強入りの領域に到達できる。そういう自覚を持って、2026年W杯組には各所属先で爪痕を残してほしいものである。

[文:元川悦子]

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