1試合の47%は徒歩で、全力疾走も平均2.7回 異質な数値でも見抜けない“歩く”メッシが「不世出」である理由【W杯】
試合中の“大半”を歩いて過ごすメッシ。ではなぜ彼は得点を量産できるのか(C)Getty Images
39歳が破る現代サッカーのタブー
アルゼンチン代表FWのリオネル・メッシを、誰もが「天才」と認めるのには理由がある。
目下開催中の北中米ワールドカップ(W杯)で、ベスト4まで勝ち上がってきたアルゼンチン。そんな精鋭軍団を史上3か国目となる連覇に導こうとしているのが、絶対的エースとして君臨するメッシだ。
その得点感覚は39歳となっても衰えは見られない。最盛期よりもスピードやアジリティに多少の低下は見られるものの、ここまで全6試合に出場して8得点、2アシストを記録。今大会では元ドイツ代表FWミロスラフ・クローゼ氏が保持していたW杯通算得点記録(16)も更新し、歴史に名を刻んだ。
老いてなお意気軒高。いまだ健在ぶりを見せつけるメッシだが、興味深いのは、そのプレースタイル。試合中の大半の時間において彼はピッチ上で歩いているのだ。それこそ全力でスプリントする機会はボールを受けた時ぐらいである。
試合中に歩くことなど、戦術が進化し、より速く、よりフィジカルなプレーが求められている現代サッカーにおいてはタブー。トレンドと逆行していると言っていい。そんなメッシの“異質さ”はデータにも表れている。
英公共放送『BBC』によれば、今大会のメッシは総走行距離の実に47%が徒歩で、1試合あたりのスプリントの平均回数はわずか2.7回。スプリント回数は4年前のカタール大会と比較しても2.6回も少ない。また、今大会中に20分以上出場したアルゼンチンのフィールドプレーヤーの中での平均走行距離は、最も少ない8.2キロしかないのだ。
それでもメッシは“目に見える結果”で周囲を黙らせる。明らかに運動量や全力疾走ができる回数も限られている今大会だが、総シュート数は33本も放ち、チャンスメイクの数は21回と、何よりも重要となる得点機会に多く絡んでいる。
歩いていたのに、気づけばメッシがゴールしている――。相手からすれば、そういう感覚なのかもしれない。ちなみに一連のデータを紹介した『BBC』は「ほとんどの選手は衰える。しかし、一流選手は適応する方法を見つける。メッシは衰えたわけではない。彼は常に追いかけてくるサッカー界の進化を支配し、常に一歩先を行くために適応している」と記している。













