「グレイシー一族に恨まれ続けた」元PRIDE戦士のコロナ禍で前進するためのポジティブ対談 『成長こそ人生の醍醐味』

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物事がうまくいかないときはプロセスを中断する

大山 やるべきこと、プロセスに集中していくと、感情の入り込む余地がなくなっていくということですかね。

井上 そうです。感情を入れずプロセスに集中すると同時に自分を俯瞰することも大切です。これは常に自分の今の状態を映画のスクリーンに映し出した状態をイメージしたものです。

大山 俯瞰って、物事を客観的に認知するメタ認知みたいなことですよね。一流の俳優さんや芸人さん、アスリートもそうですけど、やりながら自分を俯瞰しているということをインタビューなどで聞きますが、まさにこれですよね。

多くの人が完全に情報に左右されて、動けなくなってしまっているという中で、プロセスに集中しながらも俯瞰して自分を客観視していくというのが、冷静に前に進むために必要だと。

井上 そうです。そこで自分の中で俯瞰ができなくなって、上手くいかないというときはプロセスを中断します。
その場所から一度離れて、他の作業をすることで自分の頭を切り替えたり、エネルギーの流れを変えたりしてから、もう一度その中に入っていく。
そうすることで泥沼の中にハマっていくのを避けることができます。
時代や状況の波、流れに乗るということもすごく大事ですが、そこから少し離れるというのも大事なことです。

大山 格闘技の選手でも強い選手というのは試合中に流れを変えることができます。(自分の)勘にその場で対応できるというか……。
僕なんかは真っ直ぐすぎてしまって「自分の決めてきた作戦を貫かなきゃいけない」と決めつけていたところがあって上手くいかなかった分、流れを変える、中断するというのはすごく面白いなと思いますね。

流れの話でいうと、これは『ファイトネス』の本にも書かせてもらったロンドンオリンピック卓球女子団体の銀メダリストの平野早矢香さんが言っていたことなのですが、平野さんは「流れというのは時間帯だ」と仰っていて、自分の流れが来たときは一気にラッシュする、でも自分の流れじゃないときは徹底的に待つらしいんです。
その発想が僕にはなかったのですごく新鮮だったのを覚えています。

井上 流れというのは自分のエネルギーが生み出す波だと僕は思っていて、自分のエネルギーの状態が悪い時に行動すると状況を悪くしてしまいます。
ですから少し体調が悪いと感じ、気持ちが乗らないなといったときは「ぼちぼち」やるようにしています。この「ぼちぼち」という感覚は次の波に乗るうえでとても大切な考えです。

ただ、気をつけたいのは「自分状態が悪い時に何もやらない」ではない、という点です。自分の状態が悪い時に何もやらないのは「しない習慣」をつけてしまいます。そして、「やめてしまう」という選択を自分のなかにつくってしまいます。すると人は、続けることをしようとしなくなります。だから「ぼちぼちやる」ということも意外に価値がある行動なんです。





理想と現実のギャップを埋めるのが人生の醍醐味

大山 僕が前に先生に伺った話で強烈に印象に残っているのが、先生は「自己管理ができていない人の言葉は信じない」ということなんですが、先生は本当に自己管理が徹底しているというか、スゴイですよね(笑)
57歳にして今でも肉体を進化させていこう、成長していこうとしているというか?
漠然というのが全くないですものね。

井上 最初にも言いましたが、僕はミッションというのがやっぱり大切だと思います。ミッションというのは価値や目的、それと同じぐらい大事なのがビジョン、理想です。
そのミッションやビジョンと今の自分とのギャップを埋めるという楽しさが人生の醍醐味だと思っています。

そのビジョンをより高めていくためには、実は時間管理が重要です。ただ、みなさんは時間管理と聞くと、仕事の時間管理ばかり考えてしまうんです。でも、仕事の時間管理を考え選択と集中するほど、人の価値観が固まってしまい、より視野の狭い人間になってしまいます。もちろん生産性を高めるために仕事の管理はとても大切なものです。
ただ、それよりも重要なのは、これまで4時間かかっていた仕事のやり方を工夫して1時間で仕事が済んだとすると、そのできた3時間の余白に何をするかなんです。

大山 何をすればいいんでしょう?

井上 その3時間でやるべきことは、自分の今まで取り組まなかったことや、興味関心がなかったことをやる。そこに時間を費やすことで、人間の思考が柔軟になっていき、新しいものをどんどん取り入れていけます。そうすると、未来の中に自分の可能性が新たに見えてきます。
僕にとってそれが大山さんとのボクシングのトレーニングであったり、体づくりのトレーニングであったりするわけです。自分と違った世界観を持ちそれを実体験してきた大山さんとボクシングを通して、モノに対する考え方、見方、大山さん普段経験していること、感じていることを共有する。これが私の人生の可能性を大きく広げてくれるんです。

大山 なるほど、先生が年を重ねるたびに進化しているところはそこなんですね。

井上 あと「あせらない」ことも大事だと思います。もっと上手になるためにあせらない。僕は「人生は終わるまで楽しめなくてはいけない」と思っているので、少しづつ進化してもよいと考えています。誰かと競争しているわけではないので、人生を楽しんで進化させていきたいと思っています。

大山 そう言われてみると先生はすべてを楽しんでいますよね。

井上 ボクシングも「左のパンチを出すときにわきを締めるとか、手首の角度を変えるとか、肩を回すとか」、一つひとつ大山さんに言われたことを思い出しながら、丁寧に自分の中で補正して癖をつけていって、少しづつ楽しみながら成長していけばいいかと思っています。

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