ワラビーズに「39点差」の歴史的惨敗…フィジカル勝負で圧倒される「非常事態」はW杯までに克服できるのか
ハイボールの争奪戦も相変わらず改善されていない。目立った事例だけでも、直接の得点には結びつかなかったが、致命傷になりかねない競り負けが2度あった。空中戦を制する可能性が高いとわかっていれば、今後対戦を控えるチームがコンテストキックを増やしてくる可能性もあり、こちらも早急な対策が必要だ。
ここ数年の国際試合では徐々に力負けしていき、スコアが開いていくという場面は何度も見てきたが、ここまで圧倒的にFWのフィジカルの差を見せられ、しかも7回も同じパターンでトライを取られるなどという事態は2015年のW杯以来見られなかったことだ。トップレベルのチームの中ではさほどフィジカルの強さが目立たないワラビーズ相手に、ここまで内容に差をつけられ、大量失点を喫した現在は「非常事態」であると言って良い。ジャパン相手には、徹底したフィジカル勝負で臨めば負けることはないという「勝利の方程式」がトップチームに出来上がってしまったようだ。このまま「ジャパンはフィジカルで劣るから勝てない」という古くて新しい課題を抱えたまま、8強に入れるか入れないか、くらいの状態で終わってしまうのか。打開策はないのだろうか。
一つのヒントは前半の健闘にある。地力に勝るチームと対戦する場合、ジャパンの攻撃はライン全体がゲインできず、ただ左右にボールを散らしているだけというものになりがちだったのだが、この試合の前半では、接点からSH齋藤直人がフラットなパスを供給し、相手に十分な守備陣形や体勢を与えない状態で素早く展開を連続し、ライン全体を前に出すことに成功していた。CTBディラン・ライリーが奪ったチーム3本目のトライはフラットなパスで相手DFを撹乱し、できたギャップをHO江良颯が切り裂いて大幅にゲインしたことで生まれた。ジャパンとしては、マイボールのキープ率を上げ、フィジカルのぶつかり合いをなるべく避けて、スピード勝負に持ち込めば、得点のチャンスが全くないわけではないのだ。しかし、現時点では、フィジカル勝負に持ち込まれるシーンが多く、そこでひどく消耗し、後半になったらスタミナの切れを起こすというゲーム展開を繰り返している。
とにもかくにも、ジャパンの弱点ばかりが目立った惨敗だったが、下を向いている暇はない。次回は9月5日にカナダと、翌12日にはアメリカと対戦することが決まっている。いずれもフィジカルだけならジャパンよりも強いチームであり、徹底したフィジカル勝負を挑んでくる可能性も十分に考えられる。ジャパンとしては、相手のパワーをいなしながら、いかにスピード勝負に持ち込めるかがポイントとなるが、局地戦でも負けないしっかりとした修練を積んだ上で試合に臨んでもらいたい。
[文:江良与一]
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