セパ下克上Vを象徴する「ドラフト最下位指名の逆襲」と「ブービー男の覚醒」

タグ: , , , , , 2021/10/29

 杉本は194センチ、100キロ超の巨体を持てあましていた。昨季までプロ5年間で出場76試合、打率.224、9本塁打。パンチ力はあるが、確実性が課題で1、2軍の行ったり来たりが続いた。転機は昨シーズン途中、当時2軍監督だった中島監督が1軍監督代行として昇格することになった時、「風呂場で居合わせた中嶋監督から『一緒に1軍行くぞ!』と言われた」(杉本)のがきっかけだった。

 長打力の才能に目をつけていた中嶋監督が正式に1軍に就任した今季、開幕スタメン抜てきの期待にこたえた。134試合に出場し、球団の日本人右打者では1990年石嶺和彦以来となる30本塁打をマーク。3割1厘と高い打率も残し、課題を克服してみせた。主砲吉田が故障離脱したピンチでもチームが大崩れしなかったのは、4番に堂々と座る杉本の存在が大きかった。

 プロに入れば、ドラフトの順位は関係ないといわれる。しかし実際は上位指名ほど出場機会は多く与えられ、下位指名は限られたチャンスをものにしなれば生き残ることができない。指名順でいえば、ドラフトの底辺から頂点をつかんだ杉本と今野。どん底からはい上がった2人の存在は、最下位から逆襲した下克上Vの象徴そのものだった。





[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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