甲子園で視察したNPBスカウトから漏れた“超高校級右腕”への一言 横浜高校・織田翔希がひと夏で見せた「強み」と「課題」
ダイナミックなフォームは、織田の速球を生む要因の一つとなっている。しかし、そこに課題も…(C)産経新聞社
自慢のストレートに浮かび上がる課題
その一方で課題があることも確かだ。
まず、スピードがある割にストレートを捉えられる局面が多いという点だ。先述の沖縄尚学戦でも、同日最速となる154キロをレフト前へと弾き返されており、智弁和歌山戦で楠本龍生に浴びたスリーランも152キロのストレートだった。
その要因として考えられるのが、フォームの単調さだ。左足を上げてから踏み出す動きが一定でゆったりとしたところがなく、いわゆる“身体の割れ”も不十分であるため、打者目線ではタイミングを取りやすいように見えた。実際、甲子園を視察していたNPB球団のスカウトからも「いかにも速いボールを投げそうなフォームから速いボールを投げるので、フォームとボールのギャップがない」という声も聞かれた。
テイクバックで右肩が大きく下がる動きがあるのも、フォームの単調さに繋がっているように見える。全体的にもう少しゆったりとしたモーションで、フォームとボールにギャップを作れるかが今後重要になってくるだろう。
生命線となるストレートが捉えられるもう一つの要因は変化球にもある。下級生の頃に投げていた大きいカーブは今年に入ってから見られなくなり、チェンジアップも130キロ台のスピードで、緩いボールがなくなったのだ。
小さい変化で、スピードのある変化球を投げるようになると大きい変化の緩いボールを上手く投げられなくなる投手は多く、織田にもその傾向が見られたことは確かだ。ストレートをより速く見せるためにも変化の大きいカーブは難しくても、もう少しスピードを落としたボールに磨きをかける必要はありそうだ。
投球以外の面にも課題はある。沖縄尚学戦ではタイムリーを打たれた後と、スリーベースを打たれた後にバックアップに行く動きを怠っていた。かつての横浜高校のエースはフィールディング、牽制、バックアップといった部分も隙がない投手が多かっただけに、そうした所作は、プロとして歩んでいく上で意識改善が必要になりそうだ。
ただ、アマチュア選手、ましてやティーンエージャーに“課題”があるのは当然のことであり、織田はそんなマイナス要素を差し引いても余りある魅力を備えているのは間違いない。だからこそ、自らが目指すプロのステージでは、しっかりと課題と向き合い、世代を代表する選手としてさらなる飛躍を遂げてくれることを期待したい。
[文:西尾典文]
【著者プロフィール】
1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。
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