「また絶対チャンスは来るから」――スタメン落ちのドラ1を支えた名コーチとの二人三脚 苦境の度会隆輝を変えた舞台裏【DeNA】
ヤクルト戦では果敢にセーフティーバントを仕掛けた度会(C)Getty Images
「練習していないのではないか」――心ない誤解とも向き合う日々
度会の成長に目を細めるのは、鈴木コーチだけではない。靏岡賢二郎ベンチコーチは、表からは見えにくい本人の意識改革に目を向ける。
「やっぱり1打席にかける準備の質が上がってきましたね。今年、早出練習を鈴木尚典さんと二人三脚でやってるというところもそうですし、出てない中でも変わらず準備をしていたというところは、彼の中で成長したポイントだと思います」
元プロ野球選手を父に持つサラブレッドとして、2023年にドラフト1位で入団。はつらつとした言動も含めて常に注目を浴びてきた度会だけに、一部の表面的な情報や振る舞いだけが独り歩きし、「練習していないのではないか」といった心ない誤解を生むことすらある。
しかし、靏岡コーチは「プロの世界は結果を出さないといろいろと言われる。そこも含めて糧にしてやってきた。そこは間違いなく自信に繋がっている」と度会自身の努力に太鼓判を押す。
「出られていない期間に、準備の質を自分の中でルーティン化してやりきれた。それが一番、今の成績に直結していることではないかなと思います」
スタメンで出られない現実を受け止めながら、早出練習を重ね、自分なりの試合に対するアプローチを愚直にルーティン化する。このプロセスこそが、ひと回り大きな打者になるためのカギになった。
また、成長が色濃くプレーに現れたのが、9月17日のヤクルト戦で見せたセーフティーバントだった。
そこまでノーヒットだった度会が、2点リードの7回二死無塁の局面で、グラウンドの状況を冷静に察知してもぎ取った内野安打。スタメンを外れた期間を経て、その野球観や視野は確実に広がっていると感じさせた。
靏岡コーチもこのプレーを評価する。
「元々振っていくところが主になっているバッターなのですが、あの場面でセーフティーをして、出塁を狙っていくところももちろん大事。それも『気づき』が出始めたっていうところですね」
僅差の終盤。ただ打つだけでなく、出塁を第一に考え、相手の守備配置や試合展開を見極めて、確実性の高い選択肢を増やせるようになった。これもまた、度会の大きな成長といえる。













