ドイツ2部でもがく日本代表FWの葛藤 塩貝健人が語った現在地「まだなかなか自分を生かしてもらえていない」【現地発】
日本代表としても存在感を示しつつある塩貝(C)Getty Images
限られた時間で求められる「選択」
では、チームの狙いはどこにあったのか。
3-1とリードしていた局面で、追加点を狙うか、ボールを保持して試合を落ち着かせるか。それを見極める必要もあった。塩貝自身は、自らの役割をこう振り返っている。
「チームの状況とか、ゲームの展開にもよると思います。今日だったら、あと1点を取ったらゲームは多分クローズできたと思うし、そこは今日の僕がやらなきゃいけないことだったと思います」
それは確かだ。トビアス・シュトローブル監督も「3-1としたことで落ち着いて試合を進められるようになっていたし、その後は本来なら4点目を決めなければならなかった」と語っている。
ただ、試合をクローズさせるとは、ゴールを決めることだけではないのではないか。とくに勝っている展開では、終盤に時間を消費することも貴重な価値を持つ。その場合にFWには失点しないためにスペースを埋め、相手に前線からプレッシャーをかけ続けることが求められる。
そのタスクは塩貝もよくわかっている。「守備のところでも、僕が途中から出た分、追いかけ回さなきゃいけないというところは、最低限できたと思う」と振り返る通りだ。
今季の塩貝はリーグ戦で出場時間がわずか232分。先発での起用は8試合中2試合しかない。こういったプレー機会が少ない時期には「結果」を求める気持ちが強くなることもある。それでも限られた時間で、試合展開に応じた役割も果たさなければならない。そのバランスを取るのは簡単ではない。
かつて、マインツやレスターで主力としてプレーした元日本代表FW岡崎慎司も、途中出場が続いたり、なかなか試合に出られなかったりする時こそ、結果だけにとらわれず、自分の成長のために何をすべきかに目を向けていたという話をしてくれたことがある。筆者がその考えについて意見を求めると塩貝はうなずきながら「本当にその通りだと思う」と答え、そして言葉を続けた。
「出られていないのは自分に責任がある。決めるところで決めなきゃいけないし、監督に使いたいと思わせるようなプレーをしなきゃいけないと思います。かみ合いだしたら多分すごくハマると思うし、タイミングの問題だと思うんですけど、それはいち早くやらなきゃいけないです。今、自分ができることにフォーカスして、もっともっと積極的にやっていければ、絶対またチャンスは来ると思う。そこでしっかり、チャンスを自分のものにしたいなと思います」
手応えはある。だからこそ、仲間とかみ合う瞬間が多く訪れるように、自分からも働きかけ、監督が起用したくなるプレーを示し、得点に繋がる関係をつくる。塩貝はそのために、さらに積極的に動こうとしている。
「やっぱり1回成功体験をつくれたら、もっともっとボールが回ってくる。ピッチ内だけではなくて、共有できることはあると思うので、そういうところは積み重ねかなと思います」
シーズンを通じて、チームが必要とする選手やプレーは変わっていく。次のチャンスがいつ、どれほどの時間与えられるかは分からない。それでも、出場機会の限られる今だからこそ、積み重ねられることはある。
ひとつのプレーでガラッと環境が変わる。それはサッカー界の常だ。その瞬間のために、塩貝はいま自分を研ぎ澄まし続けている。
[取材・文: 中野吉之伴 Text by Kichinosuke Nakano]
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