なぜ中谷潤人は井上尚弥に負けたのか? 名参謀が告白した今だから明かせる“ファイトプラン”「ジュントは『パンチでダメージは受けていない』と言った」【独占】
ルディトレーナーと中谷は15歳の頃から文字通り二人三脚で歩んできた(C)Getty Images
「もし君が私をクビにしても理解する」――激闘直後に中谷へと向けた“謝罪”
――両者ともヒット数が少なく、パワー以外を重視してパンチを出しているようでした。だから試合後、両選手ともに「パワーはそこまで感じなかった」という趣旨の発言をしています。ただ、11回のあのパンチは確かに決定的な効果を生みました。
RH:ボクシングはいつもパンチの強さだけで決まるわけじゃない。両者ともにパンチ力があるし、特にある特定の場所にパンチをもらえば、より大きなダメージになる。強打者ではない選手であっても、身体のある場所にパンチを当てれば、ダメージを与えることができる。それで全てが変わってしまうこともある。
イノウエは非常に才能があって、頭のいいファイターだと思っている。相手をよく観察して、相手を読む方法を知っている。カウンターの打ち方も知っているし、タイミングも素晴らしい。それは何年も前からイノウエについて私が感じていたことの一つだ。彼は本当にタイミングがいい。だから、相手を見て、実行したんだ。
――その能力が結実したのが、あの11回のパンチだった。中谷選手から聞いたのですが、あなたは試合後、彼に「自分が失敗させた」と謝ったそうですね。でも中谷選手は、「謝る必要はない。あれが自分も同意していたプランだった」と言っていました。つまり彼自身は後悔はしていないと。そういう意味では、2人とも同じ考えで、もう前を向いているということですか?
RH:確かに私はジュントに謝った。『私が君を失敗させた』と。そう伝えると彼は、『いや、謝る必要はない』と言った。咄嗟に私は『いや、もし君が私をクビにして、別の人(指導者)のところへ行くとしてもそれを理解する』と言った。そうしたら彼は、『いやいや、違う、違う』という感じだった。
そして、『僕たちはチームとして、一緒にここまで来たんだ』と言ってくれたんだ。ジュントはとても優しい人間だ。でも同時に、素晴らしいファイターでもある。彼は戦い方を知っている。普段は優しいが、ゴングが鳴ったら100%ファイターになる。そして相手をKOする。だから彼は生粋のファイターなんだ。
[取材・構成:杉浦大介]
【関連記事】井上尚弥との対戦を問われて「俺は邪魔しない」 世界3階級制覇王者が持論「あいつには偉大な選手でいてほしい」
【関連記事】中谷潤人との激闘が生んだ「価値」 井上尚弥のPFP1位の長期政権化を米リング誌編集長が断言する理由「イノウエを引きずり下ろす選手は現れない」【現地発】
【関連記事】名参謀が証言した中谷潤人に“足りなかったモノ” 井上尚弥との激闘をリングサイドでどう見ていたのか?「私の失敗は、最初から積極的に戦わせなかったこと」













