なぜ中谷潤人は井上尚弥に負けたのか? 名参謀が告白した今だから明かせる“ファイトプラン”「ジュントは『パンチでダメージは受けていない』と言った」【独占】
壮絶な打ち合いとなった“東京ドーム決戦”。勝負を分けたのは、井上の“モンスター級”の一撃だった(C)Takamoto TOKUHARA/CoCoKARAnext
「だからあの夜は“ナオヤ・イノウエの夜”だった」
――今だから明かせるファイトプランは? 最初の5、6ラウンドは慎重に、というプランだったのでしょうか?
RH:7ラウンド。7ラウンドまで慎重に戦うというプランだった。
――それは誰のアイデアだったんですか? あなたですか?
RH:私のアイデアだ。チーフセコンドだからね。ジュントが耳を傾けるのは私だ。私が『ジャンプしろ』と言えば、ジュントはジャンプする。私が『動け』と言えば、動く。それくらい彼は私を100%信頼してくれている。だからこそ、私は最善の仕事ができなかったことに責任を感じているんだ。
――「前半は相手に情報を与えすぎないというのがプランだった」と中谷選手も話していました。
RH:ジュントが7ラウンド終了後に戻ってきたとき、彼が言ったことが私をハッとさせた。『相手のパンチでダメージは受けていない』と。そこで私は『分かった。じゃあ戦おう。もっと戦いに行こう』と言った。そこから8、9、10ラウンドと戦いが始まったんだ。
ただ、もちろんイノウエは素晴らしいボクサーだ。彼は11ラウンドにジュントの目の周辺、眼窩にパンチを当てて骨折させた。目を負傷したジュントは片方の目が漫画みたいにぐるぐる回っているような状態になってしまった。
――もっと早くから攻めていたら、11ラウンドのような決定的なシーンがもっと早くに訪れていたかもしれない?
RH:そうなっていたかもしれないし、そうならなかったかもしれない。『あの時こうしていれば』『こうすべきだった』『こうなっていたはずだ』と考えるのは簡単だ。
――中谷選手が負傷した10ラウンドのバッティングについてですが、影響はあったと思いますか?
RH:そうは思わない。そこを主張したら、本来称賛され、評価されるべきイノウエの功績を奪うことになる。頭がぶつかったことは言い訳にはならない。決め手になったのは、11ラウンドにイノウエが完璧なパンチを当てたことだ。本当に完璧なアッパーだった。おそらく、彼がもう二度と同じパンチを当てることはできないかもしれない。でも、あの夜はそれを当てた。だからあの夜は“ナオヤ・イノウエの夜”だった。
星が一直線に並ぶようなことが起きたんだよ。イノウエがアマチュア時代やジムでのスパーリング、プロの試合を含めて、これまで何度戦ってきた? その中で、誰かの眼窩を何度骨折させた? これまでにほとんど起こらなかったことがあの夜に起きたんだ。それをイノウエがやり遂げたのだから、私は素直に彼を祝福したい。
ミスターオオハシ(大橋秀行会長)にも、関係したすべての人たちにも、このスポーツに関わるすべての人たちにも、そしてあの試合を見に来たすべての人たちのことも、私は祝福したい。もちろん我々が勝者になっていたらよかったが、そうはならなかった。













