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快勝の裏に潜む日本代表のエアポケット…9トライでアメリカ撃破も依然として残る「不安要素」とは

タグ: , 2026/9/14

 メンバー選考を含め、力で対抗するのか、それとも速さでかわすのか。古くて新しいジャパンの課題は依然として重くのしかかってきている。

 ハイボールの競り合いも、相変わらずの課題だ。ここのところのジャパンは相手のキック処理はWTBが後退しながらのキャッチを試み、その近辺にFBを配してこぼれ球に対処する、という方法を用いている。この試合に関しては、アメリカ代表のキックの精度が高くなく、キックチェイスのプレーヤーそしてフォローのプレーヤーも機敏さに欠けていたため、大きな破綻は来さなかったが、まずWTBが競り負けることが多く、その後のFBの処理も円滑さに欠けた。

 キック後のボールを獲得して優位に攻撃を展開するというのは近代ラグビーの「定番」となってきており、実際にランキング上位国同士の対戦では、一つのキックに関しての攻防戦の結果がそのまま勝負を分けるという事例も散見される。例えば、南アフリカのWTBチェスリン・コルビは171cm・76kgと日本人の中ですら小柄の部類に入るが、空中戦では無類の強さを発揮して、ボールの獲得率が高い。この差を個人の資質の差に帰してしまってはジャパンラグビーに進歩はない。今後チームとして重点的に改善を試みていかねばならないだろう。

 FWについては、スクラムで圧倒できたものの、ラインアウトの成功率は75%と安定していない。特にこの試合はジャパンの平均身長の方が高い、有利な状況にありながらの成功率の低さだ。セットプレーの安定は、確実性の高い攻撃につながり、強豪相手に接戦を制するための重要なファクターとなる。ここ数試合、成功率の低い試合が続いているので、早急な対策が不可欠だ。

 さらにこの試合では「エアポケット」とでもいうべき状態に陥った時間帯が2度あった。前半25分過ぎからの10分間と、後半最初のトライを奪った直後の5分過ぎからの10分間だ。前半の10分間では2本のトライを許したし、後半の10分間では細かいミスで何度かチャンスを逃した。ジャパンはよく「試合の入りはいいが、スタミナが最後まで持続しない」と表現されるが、強豪国との対戦では、試合開始の元気の良さをいなされて、気持ちがやや緩み始める前半20分過ぎから失点を重ね、後半の中盤までに大差をつけられるという展開がまま見られる。この試合は実力差に開きがあったため、大した失点もせずにエアポケットを乗り切ることができたが、強豪国との対戦ではこのエアポケットは致命傷になりかねない。

 首脳陣にはこの時間帯の対策をしっかりと考え、ゲームマネジメントとしてしっかりと選手たちに落とし込んでいただきたい。

 アメリカ代表とは、来年のW杯予選プールで対戦することが決まっている。予選突破に向けての最大の打倒目標をジャパンと定め、メンバー、戦略ともに最高の状態で臨んでくることは間違いなく、この試合のような大差がつく展開ではなく、一つの破綻が勝敗を分けるような接戦になることが予想される。この試合で見えた課題をどのように改善していくか。9月19日のパシフィックネーションズカップ決勝、フィジー代表戦でその答えを出すことが求められる。

[文:江良与一]

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