なぜ森保ジャパンは4バックへ“回帰”したのか 「W杯32強敗退の教訓」と期待したい来月の「ブラジル再戦」でのテスト
こうしたミスも想定内といえば、想定内だろう。まずは4バックの攻撃的な利点を生かすため、あまり守備やリスク管理を強くインプットしなかったのかもしれない。
だが、ここで気になるのは、なぜニュージーランド戦で4バックに回帰したのか。いや、そもそもなぜ、4バックに戻す必要があったのかだ。森保監督はその理由を一応説明してはいるが、「色々やってみよう」以上の内容はない。なぜ4バックなのか、その点は詳しく説明していない。
北中米W杯を振り返ると、逆転負けしたブラジル戦は後ろが5バックでだぶついたまま、相手CBに誰も寄せられず、サンドバックになって失点した。
3-4-2-1は最初に書いたとおり、重要な箇所に人数を置けるシステムなので、リスク管理しやすい。安定性はある。ただし、一度5バックになってしまうと、良くも悪くも安定性があるので、形が固まってしまい、押し返すのが困難だ。特に相手が強豪の場合は、中盤のクオリティーがあるため、簡単にミスをしてくれず、より一層サンドバックになりがち。
日本の3-4-2-1は、決して守備的なシステムではない。むしろ両ウイングハーフに中村敬斗や堂安律(三笘薫や伊東純也)を起用する、超攻撃的システムだ。
ところが、一度引かされたとき、押し返せないというシステム上の難点は変わらない。むしろ攻撃的な選手に深い位置で守備をさせ続け、デメリットが増してしまう。守備的にも攻撃的にもキャラ変できる3-4-2-1だが、中盤的なシステムにはならない。その点が、対強豪では辛い。
そこで、4バック。
と個人的には理解している。3バックのように配置の偏りがなく、局面やバランスを動かしやすいシステムだ。そのため、ある局面を抜け出せなくなるような袋小路にハマりづらく、主導権をしっかり争える。それは同時に不安定さが増すことにもなるが、それをカバーする判断力と、不測のエラーを起こさない能力を高めるしかない。
世界的な強豪が、3バックを採用する例は少ない。それは強豪チームほど技術、戦術、対人能力においてエラーが少ないため、不安定さの露出よりも、中盤やボール周囲に人数をかけて試合をコントロールするメリットのほうが大きくなるからだろう。
日本もその位置へ行くため、3バックのように偏りの利益を享受するシステムではなく、均等で柔軟にプレーできる4バックへ移行していく。
もちろん、それがうまくいかない試合ではセンターの安定性を重視して3バックに戻すこともあるだろうし、逆に敵陣でほぼ戦況を固定できるくらいの実力差があるなら、むしろこの2年でやってきた3-4-2-1(ほぼ5トップ+1参加)のほうがバランス良く押し込み、勝率を高められるかもしれない。
そこは試合の状況に応じて使い分ければベストだが、4バックから3バックにするより、3バックから4バックにするほうが、上記で書いたように戦術的、連係的な難しさはある。使い分けを理想とするなら、醸成に時間はかかるだろう。
その第一歩のリハビリと考えるなら、対戦相手としてニュージーランド(あるいはパナマ)を選んだことは妥当だ。引いてブロックを作り、局面を激しく動かさない相手であるため、4バックのリハビリ相手としてはぴったりだ。それでも一つの場面で失点し、わかりやすいほど4バック時の典型的な課題が出たのは、ラッキーだった。
来月11月はブラジル戦とパラグアイ戦がある。果たして4バックの使用機会はあるだろうか。
そして、その先に何があるのか。
もし、ここで第二歩、第三歩を踏むのならば、「なぜ4バックなのか」を皆が感じられる試合を期待したい。あの1-2の逆転負けとは違う、何かを。それはおそらく、北中米W杯の敗退に対し、何らかの答えを示すことになるだろう。
[文:清水英斗]
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