観る、知る、楽しむ――世界最高峰スポーツの感動と裏側を日常に届ける総合メディア

戦術を打ち破る“個”は現れるか 4年後の主役候補、松木玖生と塩貝健人に期待したい理由

タグ: , , , 2026/10/15

まだまだ粗削りだが、塩貝の負けん気は買いだ(C)TakamotoTOKUHARA

 最後の10月5日のニュージーランド戦は従来のレギュラーが先発を果たし、若手選手は後半の残り15分を切ってからピッチに立つことになった、78分に投入された塩貝は、力強いドリブル突破を見せたが、インパクトを残すにはいかんせん与えられたプレー時間が短い。松木も出場時間が87分からでは、さすがに初戦に続いての存在感を示すことはできなかった。

 試合後、大会優勝の表彰セレモニーを待つサムライブルーたちのなかから塩貝を探す。その表情には不完全燃焼による心の翳りが見て取れた。

 それにしても、現代サッカーに生きる選手は戦術との戦いを常に強いられている。加速を続ける情報化社会を背景に、サッカーの世界は相手の研究が容易になり、チームとして戦う戦術重視へのスタイルがより強くなっている。

 ピッチに立つ全選手が連動して攻撃し、そして守るという戦術の意識を高く持って臨まなければならないのだ。しかも、その戦術は世界的にも一瞬の油断が命取りとなる、少ない手数で一気呵成にゴールへと迫る果断速攻のスタイルに統一されつつある。戦術の差異がなくなれば、相手への対策のハードルも低くなる。

 では、相手にこちらの手段を研究されている現状の戦いで、戦術対戦術の睨み合いとなったとき、攻撃面においてゴールへと到達するには、なにが必要となるのか。それは戦術のなかにも、相手のチームディフェンスを凌駕する圧倒的な個人プレーである。定石の戦いの外にある、意外性を持ったプレーを臆することなく行うチャレンジ精神だ。

 4年後のW杯での定位置奪取を目指す選手たちは、今回の代表戦シリーズで現在のレギュラーの牙城を決定的に崩すようなインパクトを残すことはできなかった。しかし、そのなかで塩貝と松木は定位置への争いに後退することなく、なんとか踏み止まったと言える。

 たとえば塩貝は強引で粗削りだが、迫力あるドリブル突破で見る者にインパクトを与えた。しかし、チームプレーとしての状況判断には改善の余地があることも浮き彫りにした。パスを選択した方がゴールの確率が高くなるところでも、自らの単独突破に強いこだわりを見せ、チャンスを潰してしまう場面があった。

 だが、相手側から見れば、戦術による定石のプレーだけを繰り返す選手ならば、対処に苦心することが減る。攻撃側が相手守備陣の戦術による対処を打ち破るには、敵の予想を覆し、戸惑わせるような意外性のある強引なまでのプレーがときに効果を発揮する。
賛否はあるだろうが、熱気を孕んだ心の昂ぶりから生まれる塩貝の挑戦的なプレーには、そうした定石を打ち破る可能性を感じる。

 敵の包囲網を突破するためには、状況によっては相手の戦術だけでなく、自チームの戦術をも破壊してまで行う“個”のプレーが必要なのだ。戦術外のプレーを望むのは、現代サッカーの定石からは矛盾することになるだろう。だが、局面によってはこの矛盾を体現できる選手が、試合での閉塞感やさらなる世界の壁を突き破る一手となるのだ。

[文:徳原隆元]

【関連記事】「やっぱり、もっと評価されないといけない」メガクラブ移籍が実現しなかった現実をどう受け止めるか 佐野海舟が語った己の“現在地”【現地発】

【関連記事】上田綺世の好調は吉兆だが…アジア杯へ残る課題 「引かれた相手」を打ち破る“第二の得点源”は誰になるのか

【関連記事】日本撃破で兵役義務の免除を喜んだ韓国イレブンに批判殺到! 主将の「これで軍隊には行かない」発言が波紋 母国内で特例排除の議論も噴出「軽率な言動は看過できない」

関連記事

「サッカー」新着記事

『CoCoKARAnext』編集スタッフ・ライターを募集

CoCoKARA next オンラインショッピング

PICK UP ユメロン黒川:寝姿勢改善パッド「nobiraku」 寝ている間が伸びる時間

腰が気になる方!腰まわりの予防に、試してみませんか? 寝ている間が、ととのう時間。 nobirakuはパフォーマンス向上の為の“大人のお昼寝”にも最適!

商品を見る CoCoKARAnext
オンラインショップ

おすすめコラム