なぜFIFAは頑なだったW杯売却計画を「中止」にしたのか インファンティーノ会長の決断を変えた内部分裂 側近たちが反旗を翻した「舞台裏」
求心力を失ったインファンティーノ会長は見限られ…
しかし、事態は急変した。1日に新たな声明を出したインファンティーノ会長は「全ての見解に注意深く耳を傾けた結果、この計画が当初設定された目的にとって、これ以上利益にならない性質の分裂を生み出したことが明らかになった」と断言。そして、「私たちの目的は常に、そしてこれからも、団結と向上にある。したがって、この提案は中止する」と語った。
各協会から理解を得られないままでは、投資家たちからの出資も見込めない。サッカー界で広まった世界的な反発を考えれば、必然的な結末ではあった。だが、UEFAからボイコットを示唆されてもなお、計画実行の態度を改めようとしなかったインファンティーノ会長は、なぜ急転直下で考え方を変えたのか。
理由は様々に考えられるが、一つの「原因」として考えられるのは、FIFA内部で生じた亀裂だ。
UEFAなどからの猛烈な批判が起き、FIFAに対する逆風が強まった現地時間7月31日には、インファンティーノ会長の側近で、米金融大手ゴールドマン・サックスの元副会長でもあったカルロス・コルデイロ氏が上級顧問を辞任。「生涯を通してサッカーファンである私としては、FIFAがワールドカップの株式売却を検討しているのを黙って見過ごすことはできない」と自身の考えを公言。
また、FIFAのケビン・ラムールCOOも、米メディア『The Athletic』などで「我々の職員はインファンティーノに欺かれた」と断言。「あれは1人の人物によるプロジェクトであり、我々の使命はサッカーに奉仕すること。本来、FIFAに奉仕すべき立場にありながら、FIFAを体現していると思い込む人物の個人的利益に奉仕することではない」と強く反発していた。
こうしたFIFA上層部にいる人物たちのコメントからは、インファンティーノ会長が急速に求心力を低下させたことが伺える。つまり、計画を推し進めようとした人物たちが、外だけでなく、内からも信頼を失ったことで、W杯売却構想は大きく傾いたというわけだ。
計画は撤回された。しかし、今回の騒動でFIFAとインファンティーノ会長が失った信頼は容易くは戻らないだろう。それをどう回復させるのか。今後のかじ取りの行方が注目される。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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