阪神の球団史上初の連覇はあるか? “ノーチャンス”だった勝利の方程式が揺らいだ前半戦総括 正念場の後半戦で指名したい「投打のキーマン」
中継ぎ陣に離脱者や主力の不調など問題が重なった前半戦で、小さくない光を放った工藤(C)産経新聞社
空いた穴を埋める存在が出現する阪神の“伝統”
先発陣は高橋の他に才木浩人、村上頌樹も開幕から堅実な投球を続けてチームに貢献。一方で不安を見せたのが救援陣だった。
昨季66試合に登板してブレークした及川雅貴が開幕から思うように状態が上がらず4月に2軍降格を経験。不動のセットアッパーだった石井大智も2月の春季キャンプ中に左アキレス腱断裂の重傷を負って長期離脱を余儀なくされた。優勝した昨季に1.96だった救援防御率は現時点で3.36。1点でもリードしていれば、7回から及川、石井、岩崎優と繋ぐ、相手からすれば“ノーチャンス”だった勝利の方程式の安定感は今季はやや揺らぐ。
ただ、離脱者や不調で空いた穴を埋める存在が出現するのが、ここ数年の阪神ブルペンの良き“伝統”でもある。今季は若き剛腕の工藤泰成が台頭した。
育成から支配下に昇格した昨季は不安定だった制球が今季は安定し、持ち味である直球を主体としたパワーピッチを確立。その魅力を誇示したのが、7月11日のヤクルト戦だ。1-0とリードした8回に登板した右腕は味方の失策などもあって無死満塁の大ピンチを背負った。なんとか2死までこぎつけたものの、対峙したのは相手主砲のドミンゴ・サンタナ。捉えられれば、逆転される窮地だった。
しかし、ここで工藤は真価を発揮する。初球に球団の日本人投手最速となる163キロを計測してストライクを奪うと、最後は6球目の高めの直球で空振り三振に斬った。これには、現役時代に絶対的クローザーとして君臨した藤川球児監督も「自分が現役の時を思い出しても、いわゆる覚醒をするときは非常に大きな壁が目の前にある。こういうふうにして乗り越えていくんだというのが見て取れた。こちらもゾワゾワとした」と最大限の賛辞を送った。
いまや守護神のラファエル・ドリスに繋ぐ役割を担うまでになった工藤を筆頭に、同じく160キロの速球が魅力の木下里都など経験を積んでいる若手リリーバーが優勝争いの中でも力を発揮できれば、ベテランのドリス、岩崎の負担も軽減できる好循環となる。













